メキシコを皮切りに全世界へ。SAPシステム導入のグローバルプロジェクト | プロジェクトストーリー | 採用情報 | 株式会社三井ハイテック

STORY 05

メキシコを皮切りに全世界へ。
SAPシステム導入のグローバルプロジェクト

プロジェクト概要

2023年、国内外のグループ会社を横断した業務効率化とデータ管理の一元化のため、統一したSAP(基幹システム)を導入するプロジェクトが始動。その第1弾として、新設されたメキシコのグループ会社への導入が決定しました。導入方針は”Fit to Standard”。言語・文化の違いやフローの未整備といった課題に直面しながらも、対話を重ね、現地メンバーとの信頼関係の構築によって一歩ずつ前進していきました。国内で構築した標準テンプレートの改善点も明確になり、次なる展開に向けた大きな学びと成果を得ました。

PROJECT MEMBER

  • Mさん

    情報システム統括部 ビジネスシステム部 基幹システムグループ

    2019年入社 (中途入社)

  • Sさん

    情報システム統括部 ビジネスシステム部 基幹システムグループ

    2025年入社(中途入社)

  • Nさん

    情報システム統括部 ビジネスシステム部 基幹システムグループ

    2024年 (新卒入社)

全体のデータ集計・分析のため
SAPを全グループ法人に導入

M

国内外のグループ会社すべてに、統一したSAPシステムを導入するプロジェクトが立ち上がったのは、2023年のことです。SAPとは、管理会計や販売管理、生産計画など複数の業務を統合できる基幹システムのソフトウェアです。
当社では、以前から国内および海外グループ会社の一部でSAPを導入していました。しかし多くの海外グループ会社では使われておらず、導入済みの拠点もバラバラの使い方をしていて、一部のデータについてはSAP以外で管理されているケースもありました。そのため、統一した基準でグループ全体のデータを集計・分析することが困難であり、今回、改めて全グループ会社にSAPを導入することを決めたのです。

日本で統一システムのテンプレートをつくった後、最初にメキシコのグループ会社に導入することになりました。同社は設立されたばかりで旧来のシステムから切り替える手間がなく、新システムを導入しやすいというのがその理由でした。
プロジェクトに関わるメンバーは、各事業部や社外のITベンダーも含めると総勢100名以上。情報システム統括部からは10名が参加し、基幹システムグループでは私とNさん、Sさんの3名がアサインされました。

私は約6年前に中途入社し、SAPに関する業務のうち、”Basis”と呼ばれるSAPの土台となる領域を担当していました。そこで、これまでさまざまな案件でプロジェクトマネジャー的な役割を担当してきたこともあり、今回のプロジェクトにも同じような立場で関わることになりました。

S

私は中途入社したばかりで、前職ではメーカーの社内SEをしていました。現在はMさんがメイン担当をしているBasisのサブ担当をしており、メキシコへの導入プロジェクトにも関わることになりました。私は常々、会社全体の動きを見られるようなシステム構築・導入に携わりたいと考えていたこともあり、まさに自分がやりたかった仕事に就け、高いモチベーションで臨むことができました。

N

私は2024年に新卒入社し、SAPの多様なモジュールのうち、PP(生産管理)の運用保守を担当しています。メキシコでは先輩と2人でPPを担当することになりました。先輩方と比べると知識も経験も不足していますが、少しでも役に立ちたいと思い、「何か私にできる仕事があれば、どんどん振ってください」と積極性を大事にしていました。

“Fit to Standard”を
実現することの難しさ

M

最初のプロセスは、統一システムのテンプレートの構築でした。今回のプロジェクトのポイントは、”Fit to Standard”の考え方に基づいて、SAPを導入すること。従来は各々の業務に合わせてシステムをカスタマイズしていましたが、今回はアプローチが真逆で、SAPの標準機能に準拠して業務のやり方や用語の使い方を変えていきます。その見本となるテンプレートを、日本での業務をもとにつくることにしました。

S

“Fit to Standard”は、実は簡単なことではありません。例えば、会計の勘定科目について、これまではその国の言語や法制度に従って表記をカスタマイズしていました。しかし今後は、どの国でビジネスをするにしても、SAPの標準機能に合わせて業務を行うことになります。慣れない表記に変わるので、混乱を招きやすくなることも容易に想像されます。

M

テンプレート構築に当たって、我々には生産管理や管理会計など現場の業務の詳細が分からないため、事業部のメンバーに協力を依頼しました。しかし、事業部のメンバーは必ずしもSAPの用語に詳しいわけではありません。また、グローバル展開のためにすべて英語表記にしたことも、分かりにくさに拍車をかけました。
5カ月かけてテンプレートを何とかつくったものの、実務に当てはめてみないと分からない部分も少なからずありました。そんな状況で、2024年10月からメキシコでの導入作業に臨むことになりました。

作業の遅れを取り戻すべく
現地入りして相互信頼を築く

M

先ほども述べた通り、導入第1弾としてメキシコのグループ会社が選ばれたのは、他よりも導入しやすいと思われたからです。しかし、いざ作業を始めてみると想像以上に難航しました。
繰り返しになりますが、”Fit to Standard”の原則に従って導入するので、メキシコ現地のやり方にSAPを合わせるのではなく、SAPの標準機能に合わせて業務を変えていかなければなりません。そのためには、現地のメンバーと密接なコミュニケーションを取ることが必要ですが、思うようにはいかなかったのです。

メキシコの現地メンバーはすべてモーターコアの担当者なので、基本的に情報システムには詳しくありません。加えて、現地のメンバーは英語かスペイン語が主で、こちらも英語が得意ではないという状況なので、細かいニュアンスがなかなか伝わりません。翻訳者もいますが、伝言ゲームのように、コミュニケーションに介在する人が多くなると、途中で意味が変わるようなことも出てきます。初期の頃は、現地に行く段階ではないと考え、メールやチャットだけでやり取りしていたのもマイナスに働きました。認識のズレがたびたび生じ、導入プロセスが一向に進みません。
そうこうしているうちに、時間もなくなってきました。メキシコで生産を開始するには、生産体制が万全かどうか、クライアントの監査に合格する必要があり、SAPもその対象に含まれます。監査の時期が刻一刻と迫るなか、SAP導入が間に合わなければすべてが遅れるというプレッシャー。私一人が頑張ればどうにかなるものでもないですし、非常に焦りました。

しかし、Nさんを含めた情報システム部の3名のメンバーが現地に足を運んでくれたことで、潮目が変わりました。

N

わずか4日間でしたが、プロジェクトの先発隊としてメキシコに入りました。その時に意識したのは、何よりもまず、現地のメンバーとの信頼関係を築くことです。

他の立ち上げ業務でも忙しい現地のメンバーに、いきなりSAPの話をしたらうんざりされるはず。そう考えて、「SAPに限らず、ネットワークで困っていることがあったら、何でも言ってくださいね。私たちで解決しますよ」と、いつでも相談を受けるというスタンスで話したのです。
すると、現地メンバーとの会話が生まれ、メンバーの人となりも見えてきて、コミュニケーションが図りやすくなりました。二度目に行ったときには、「ITに慣れた人が来てくれた! 待っていたんだよ」と喜んでもらえて、私も嬉しかったです。

二度目のメキシコ入りの際には2週間滞在し、現地のメンバーと毎日打ち合わせをして、その情報を日本に伝えていました。通訳に頼るだけでなく、スマホの翻訳機能を使って直接会話をしていました。間違ったことを伝えてはいけないという緊張感はありましたが、コミュニケーションの円滑化を促進する面で、少しは貢献できたのではないかと思っています。

メキシコで得た反省点を
着実に改善につなげていく

M

Nさんたちが信頼関係を築いてくれたおかげで、明らかにプロジェクトが前に進み始めました。それによって解決しなければならない課題もたくさん見つかりましたしね。

S

その一つは、メキシコ法人の業務フローがまだ定義されていないことです。たとえば、何らかの資材などを買う場合、一定規模の企業では、社内でどういう手順を踏み、どんな手続が必要なのか定義されています。そうしたフローが決まっていないと、SAPの標準機能に合わせることもできません。今はそうした定義を現地のメンバーと一緒に固めているところです。

M

また、日本で事前に構築したテンプレートも、もう少し精度を上げられる余地がありました。もっと多くの事業部のプロフェッショナルたちに関わってもらえば、より精度が上がって、メキシコでの導入もスムーズになったのではないかと反省しています。

N

大規模なプロジェクトに初めて参加して、準備の大切さを痛感しましたね。今回の導入でいえば、しっかりと要件定義をし、業務フローやテンプレートをつくることが、いかに重要かよく分かりました。
一方で、準備の大切さがプロジェクトメンバーの共通認識になったことで、ポジティブな影響も出てきていると思います。次はポーランドのグループ会社にSAPを導入する予定ですが、他のメンバーがかなり早い段階で現地に行き、現地で詳細なヒアリングを行っています。反省点を着実に改善に結び付けられていると感じますね。

M

メキシコはあくまでSAPをグローバル展開する上での第一段階。さまざまな課題が出てきたことは、反省しつつも、悪いことではないと思っています。この経験を今後の糧にしていきたいです。

一生に一度の大プロジェクトに
関わることができる喜び

N

まだまだ途中ですが、今回のプロジェクトに関われたことは、とても貴重な経験になっていると実感しています。国内の情報システム以外の事業部のメンバーや外国拠点のメンバー、ITベンダーの方など、こんなに多くの人たちと一緒に仕事ができる機会は、そうそうないと思うのです。海外出張も経験することができ、ものすごく刺激を受けています。
現在の個人的な課題は、自分が担当している生産管理だけでなく、購買や販売、会計などの知識も身につけなければならないということです。自信を持って自分の意見が言えない場面があり、悔しい思いをしたので、もっと広く学んでいきたいと思っています。

S

今後のポーランド以降のプロジェクトでは、Basisのメイン担当を任される予定です。自分の役割を果たせるよう、業務ノウハウを吸収していくことが急務と考えています。ゆくゆくはMさんのように、私自身もプロジェクトを推進していく人材に成長していきたいです。

M

SAPはあくまでツールの一つに過ぎません。本来のプロジェクトの目的は、三井ハイテックグループ全体のデータを統一的な基準のもと、迅速に集計・分析することにあります。そのためには、情報システム全体を俯瞰しながら進めていくのが大切です。そうした視点を持つことが、会社の成長だけでなく、自分の成長にもつながると考えています。
この規模のプロジェクトに携われるのは、おそらく一生に一度しかないでしょう。充実感を覚えながら仕事に取り組んでいますし、グループ全体への導入をやり切った時をイメージすると、大きなやりがいを感じますね。この先さらに困難なこともあると思いますが、プロジェクト完了までずっと関わっていきたいです。

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